サッカー選手に多い「グロインペイン症候群」

サッカー選手に多い「グロインペイン症候群」

——なぜ起こり、どう防ぎ、どう戻るのか(立川市|ありた整骨院)

 

はじめに ── その「ズキッ」を、未来に変える

 

 

「蹴るたびに鼠径部(そけいぶ)が痛む」「ダッシュや切り返しが怖い」「休むと一瞬よくなるが、再開するとぶり返す」——。
それは**グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)**のサインかもしれません。サッカーは“蹴る・止まる・切り返す・ひねる”が連続する競技。

 

痛みを抱えたままでは、思い切りの良さ・スピード・キックの精度が落ち、パフォーマンスもメンタルも削られます。この記事では、なぜサッカー選手に多いのか/予防法/なってしまった時の正しい対処/復帰までの道筋を、現場目線でわかりやすくまとめます。

 

グロインペイン症候群とは?

 

鼠径部〜股関節の前面/内側の痛みを総称した“症候群”で、原因がひとつに限定されないのが特徴です。臨床ではおおむね次の要素が絡み合って起こります。

  • **内転筋群(太ももの内側)**の過負荷・腱付着部の刺激

  • 腹直筋・腹斜筋と内転筋のアンバランス(骨盤前面での力の綱引き)

  • 股関節の可動域制限(とくに内旋・伸展の不足)

  • 骨盤・体幹の安定性低下、動作時のねじれ代償

  • 股関節インピンジメント/恥骨周囲ストレスなどの関節・骨性因子

 

症状は「蹴る動作」「高速の減速」「素早い方向転換」で増悪しやすく、休むと軽快→再開で再発……を繰り返すのが典型です。

なぜサッカー選手に多いのか(原因)

 

1) キック特有の一方向ストレス

 

蹴り足は「強い振り抜き+内旋」、軸足は「固定+外反・回旋制御」。左右非対称の負荷が日々蓄積します。クロスやロングキックが多いポジションほど内転筋・恥骨周囲のストレスは増えます。

 

2) 急減速・切り返しの反復

 

90分間で何十回も行うストップ&ゴー。減速時は内転筋が強く働き、方向転換では骨盤が急激に回旋。筋力・腱の耐性が不足していると痛みにつながります。

 

3) 股関節可動域の不足

 

内旋・伸展が硬いと、蹴りや回旋のたびに代償が恥骨〜鼠径部に集中。過去の腰痛・ハムの張り・足首捻挫なども、動作の“クセ”を固定しリスクを上げます。

 

4) 過密スケジュールと回復不足

 

連戦・人工芝・遠征移動・睡眠不足・栄養偏り。回復が追いつかず、微細損傷が修復されないまま負荷が上書きされます。

 

5) 用具・環境

 

 

スパイクのフィット不良、グリップの強過ぎるピッチ、硬い地面は、骨盤—股関節—膝—足部の連鎖に余計なねじれを生みます。

 

ならないための予防策(実戦向け)

 

〈土台〉“可動性×安定性×筋力(腱耐性)”の三本柱

  1. 可動性

    • ヒップ内旋モビリティ(90/90、バタフライ内旋)

    • 腸腰筋・大腿四頭筋ストレッチ(タック入りのヒップフレクサー)

    • 臀筋群の伸展誘導(グルートブリッジの可動域出し)

  2. 安定性(骨盤・体幹)

    • デッドバグ/プランク+足上げ/パロフプレス

    • 片脚ブリッジ(骨盤水平の保持)

    • 立位での体幹—骨盤—軸足のスタック(積み重ね)練習

  3. 筋力・腱耐性(内転筋強化)

    • コペンハーゲン・アダクション(ショートレバー→ロングレバーへ段階的に/週2–3回)

    • サイドランジ→クロスランジ→ラテラルバウンドへ進行

    • 等尺性スクイーズ(ボールや枕を膝で挟み10–30秒×数セット)

〈ウォームアップ〉“スイッチを入れる”

  • ジョグ→モビリティ→動的ストレッチ加速/減速ドリル→ボールタッチ

  • プログラム例:**FIFA 11+**をベースに、内転筋活性(Copenhagenプログレッション)を差し込む

〈負荷管理〉“急増を避ける”

  • 週当たりの走行距離・高強度スプリント・キック本数の急増を避ける

  • 「痛み0–2/10なら許容、3–4/10は調整、5/10以上は動作変更または中止」などチーム基準を共通化

  • 連戦時はキック強度の波を作り、回復日を設計(睡眠・栄養・水分・アイスバス等)

〈スキル〉“植え足と体幹”

 

  • 植え足の向き・接地時間、体幹回旋のタイミングを修正

  • キック前後の骨盤水平体幹のブレ最小化を映像で確認

もし発症してしまったら(正しい対処)

 

フェーズ0:痛みの見極めと“相対的安静”

  • 完全休止=最短復帰とは限りません。
    痛みを強める動作(強いインステップ、フルスプリント、鋭い切り返し)を一時的に制限し、痛み0–2/10の範囲でできる練習を選択(ジョグ、対人なしの基礎など)。

  • 赤旗(要医療機関):強い腫脹・熱感・発熱、クリック音を伴う鋭痛、安静時激痛、明らかな脱力・しびれ、脱腸疑い等。

 

フェーズ1:痛みコントロール&等尺性

  • 内転筋等尺性スクイーズ 10–30秒×5–10セット(1–2/日)

  • 体幹の低負荷スタビリティ(デッドバグ、ヒップヒンジの型出し)

  • 必要に応じて微弱電流/超音波で炎症・痛覚過敏の緩和

 

フェーズ2:筋力・腱耐性の回復

  • Copenhagen(ショートレバー→ロング)、サイドランジ、ラテラルバウンド

  • ヒップ内旋・伸展モビリティ継続、骨盤コントロールドリルを立位へ

 

フェーズ3:走・切り返し・キック再導入

  • 直線ラン(50→70→90%)→コドリル→方向転換→段階的キック(インサイド→インステップ→ロング)

  • 競技特異的ドリル(ポジション別:クロス、カウンター時の減速、セカンドボール対応など)

 

フェーズ4:フル復帰(Return to Play)基準の一例

  • アダクター・スクイーズテストで痛みなし/筋力左右差<10%

  • スプリント・切り返し・キック100%で翌日痛み増悪なし

  • セッション後48時間の遅発痛増悪なし

  • 過負荷週でも自己管理で0–2/10に収まる感覚がある

 

重要:復帰後3–6週間は**“再発ゾーン”**。週2回の内転筋強化(Copenhagen等)と負荷モニタリングを続けることで再発率を下げられます。

自分でできる簡易セルフチェック

  • ボール挟みテスト:膝でボールを挟み10秒。痛み3/10以上→要調整

  • 片脚スクワット:骨盤が傾く/膝が内に入る→体幹・殿筋の再教育が必要

  • キック三段階:インサイド→インステップ→ロング。どの段階で痛むかを記録(誘発動作の特定に有用)


よくある“NG対応”

  • 痛み止めでだまし続ける

  • ストレッチだけで筋力・腱耐性づくりを怠る

  • 強圧の揉みほぐしで一時的に楽→試合で悪化

  • 靴・ピッチ・スケジュールなど外的要因を見直さない


ありた整骨院のサポート(立川市)

  • サッカー動作に特化した問診・動作評価(ポジション/利き足/キック種類まで)

  • 骨盤・股関節の再教育+内転筋強化+体幹スタビリティを統合した施術・運動プログラム

  • 必要に応じて微弱電流(レボックス)・超音波で痛みをコントロール

  • 段階的復帰プラン(個別メニュー/負荷設計/再発予防)

  • 完全予約制。初回〜再発予防まで一貫サポート

 

「チームを離れたくない」「次節に間に合わせたい」——その現実に寄り添い、**“最短で、最も安全に”**を一緒に探します。

まとめ ── “今日の一手”がキャリアを守る

 

グロインペイン症候群は、原因が複合的だからこそ、解決も多面的であるべきです。

 

可動性・安定性・筋力(腱耐性)・スキル・負荷管理——この5つが噛み合えば、痛みは“壁”から“通過点”に変わります。

 

「また思い切りプレーしたい」
「自分のベストに、もう一度届きたい」

 

その想いがあるなら、今日の一手を一緒に打ちましょう。

 

ご相談・体験施術(完全予約制)

  • 📍 立川市|ありた整骨院

  • 🕒 予約制(初回は評価・説明を丁寧に行います)

  • 💬 「症状が出る動作」「翌日の痛みの変化」など、メモがあると最短ルートを作りやすくなります。

 

まずはDM/お電話/LINEからお気軽に。あなたのプレーとキャリアを守るために、最適なプランをご提案します。