陸上競技長距離選手のグロインペイン症候群について

(鼠径部痛・恥骨痛の原因/対処/復帰までの完全ガイド)

陸上長距離選手に多い鼠径部痛=グロインペイン症候群を専門的に解説。発症メカニズム、セルフチェック、走行再開の段階表、再発予防、当院のサポート方針をまとめました(立川市・多摩地区)。

こんな痛みはありませんか?

  • ジョグは平気だが流し・ビルドアップ・レぺで鼠径部〜恥骨がズキッ

  • 左回りトラックのコーナーで痛みが増す(内転筋や恥骨寄り)

  • 坂ダッシュ・下りで響く/翌朝の起き上がりやくしゃみで痛む

 

  • 片脚立ちや片脚スクワットで骨盤が落ちる・内側に崩れる

これらは長距離選手に多いグロインペイン症候群の典型像です。放置して距離だけ重ねると慢性化しやすく、シーズンを棒に振るリスクがあります。

なぜ長距離選手に起こる?(メカニズム)

陸上長距離は反復回数が圧倒的で、次の要因が恥骨結合・内転筋群・腸腰筋にストレスを集中させます。

  • オーバーストライド×骨盤前傾過多
    着地が前方に伸びると股関節伸展→素早い屈曲の切替で腸腰筋に遠心負荷、同時に骨盤のねじれが恥骨周辺へ。

  • クロスオーバー走法・骨盤ドロップ
    接地が身体の正中を跨ぐ癖や、片脚支持で骨盤が落ちると股関節内転モーメント↑→内転筋付着部(恥骨側)に牽引ストレス。

  • トラックの片回り・路肩のカンバー(道路の傾斜)
    いつも同じ方向へ横方向の荷重偏り。特に内側脚の内転筋/外側脚の腸腰筋に非対称負荷。

  • 距離と質の同時増加/回復不足
    週の走行距離・スピード練・坂・下り・ドリルを同時に増やすと修復が追いつかない

 

  • シューズと地面の組み合わせ
    厚底高反発×硬い路面は股関節前面の張力を上げやすい。合わない安定性シューズも内転方向の癖を強化することあり。

分類を知る(ドーハ分類の考え方)

グロインペインは以下の重なりで起こります。的確な評価が回復の最短ルートです。

 

  • 内転筋関連(内転筋腱付着部炎/筋損傷)

  • 腸腰筋関連(股関節前面の痛み・引っかかり)

  • 鼠径部(腹壁)関連(いわゆるスポーツヘルニア)

  • 恥骨関連(恥骨結合周囲炎・骨ストレス)

  • 股関節関連(FAIなど構造的要因)

自分でできる簡易セルフチェック

  • アダクター・スクイーズ(45°膝曲げでボールを挟み最大収縮)
    → 恥骨寄りの痛み=内転筋/恥骨関連の可能性

  • シングルレッグスクワット
    → 膝が内に入る/骨盤が落ちる=股関節外転・外旋筋の弱さ

  • 片脚ヒップヒンジ/Yバランス
    → ぐらつき・鼠径部のつっぱり=協調性不足

  • 股関節内外旋の可動性
    → 明らかなひっかかり痛=股関節関連も疑う

 

強い圧痛・夜間痛・歩行痛・走ると悪化する痛みが2週間以上続く場合は専門評価を。

走るのをやめるべき?(ロードマップ)

「完全休養」より負荷の質と量を調整して治すのが基本。痛み指標は0–10で3/10以内、かつ24時間後に悪化しないことをルールにします。

Phase 0:痛みのピーク(1–7日)

  • 相対的安静:坂・下り・トラックカーブ・レぺは中止。平坦ジョグも痛むならウォーク。

  • 圧迫・保護:鼠径部サポーター/テーピング。

  • NG:強いストレッチ・揉みほぐし過多・睡眠不足。

Phase 1:痛みコントロール&再学習(1–2週)

  • アイソメトリック(痛み3/10以内):

    • アダクター(タオル/ボール挟み)

    • ヒップフレクサー(腸腰筋)壁押し

    • ローアブ(ドローイン/デッドバグ)

  • 股関節可動性:前方つまりの軽減(前後・内外旋)

 

  • 呼吸×骨盤:過剰前傾を整える横隔膜呼吸

Phase 2:筋力・協調性の再構築(2–4週)

  • コペンハーゲン・アダクション(膝曲げ→膝伸ばしへ段階)

  • 片脚ヒンジ/ランジ(膝内倒れを抑制、骨盤安定)

  • サイドプランク+内転挙上マーチングブリッジ

 

  • フォーム再教育

    • ケイデンス軽度↑(目安+5%)でオーバーストライド抑制

    • 体幹はリラックス、骨盤から前への意識

Phase 3:ラン再開プログレッション(10段階)

  1. ウォーク30–40分

  2. 1分ラン/1分ウォーク×10

  3. 2分ラン/1分ウォーク×10

  4. 5分ラン/1分ウォーク×6

  5. 15–20分連続ジョグ

  6. 30–40分ジョグ

  7. 変化走(10–20秒の流し×6–8本)

  8. ビルドアップ(終盤だけ上げる)

  9. 1000m×3–4(平坦直線のみ、RPE7/10)

  10. 通常メニューへ(トラックは逆回りと交互/坂・下りは後半に少量)

 

各段階は48–72時間の反応を見て進行。痛み>3/10や翌日に増悪なら1段階戻す。

競技復帰(RTP)の目安

  • アダクター最大収縮で痛み0–1/10

  • 片脚ドロップジャンプで痛みなく骨盤安定

  • 30–40分ジョグ+流し×8で違和感最小

 

  • 1週間、ポイント練→Easy→オフのサイクルで悪化なし

トレーニング調整の具体例(再発予防)

  • 週走行距離の増加は10–15%以内。距離とスピードの同時増加は避ける

  • トラックは逆回りを採用、内外レーンを使い分け

  • 坂・下りは後半少量カンバー路肩は避ける

  • シューズを2–3足ローテ(厚底・軽量・安定系を目的で使い分け)

  • ウォームアップ:股関節モビリティ→アクティベーション(内転筋・外転筋・腸腰筋)→ランニングドリル(A/Bスキップ、カリオカ等)

 

  • 栄養・回復:エネルギー不足(RED-S)や鉄不足は治りを遅らせるため要注意

注意すべきサイン(医療機関へ)

  • 歩行や夜間にも強い痛み、発熱・腫脹

  • 2–3週間で改善傾向が乏しい

  • 股関節ロック感/引っかかりが強い

 

  • 恥骨周囲の骨ストレス疑い(押して鋭い痛み、走ると悪化)
    → 整形外科での超音波/MRIを推奨。必要に応じ当院から紹介します。

よくある質問(FAQ)

 

Q. 完全休養の方が早く治りますか?
A. 痛みは一時的に軽くなっても、協調性やフォームが残れば再発しがち。段階的負荷に移行する方が復帰は確実です。

 

Q. ストレッチは効きますか?
A. 急性期の強い静的ストレッチは悪化のことも。可動域は軽いダイナミック→痛みが落ち着いたらエキセントリック強化へ。

 

 

Q. 厚底シューズはやめるべき?
A. 一律に否定しません。路面・スピード・個々のフォームとの相性で判断。痛む時期は反発が強すぎる組み合わせを避け、ローテで負担分散を。

ありた整骨院のサポート(立川市・多摩地区)

完全予約制/自由診療。アスリート対応に特化し、長距離選手の復帰を**“最短で、確実に。”**

  1. 専門評価(約30–45分)

    • 走行フォーム(動画可)・片脚機能・股関節可動域

    • ドーハ分類に基づく鑑別(内転筋/腸腰筋/恥骨/腹壁/股関節)

  2. 痛みコントロール

    • 手技・関節モビリゼーション、超音波/レボックス等、テーピング

  3. 段階的リハ×フォーム再教育

    • コペンハーゲン導入、片脚ヒンジ/ランジ、骨盤安定

    • ケイデンス調整・オーバーストライド是正のコーチング

  4. 練習計画の同伴設計

    • 週次メニュー(ポイント/EASY/OFF)の配分、走行再開10段階表の個別化

    • 監督・コーチ・保護者と共有(希望制)

対象:中学・高校・大学・市民ランナー・実業団まで
所要:症状により30–60分/回

まずは初回評価で現在地を見える化し、いつ・何を・どの順で回復するかを明確にします。

 

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