―― 鼠径部痛・股関節痛・恥骨の痛みを抱えたまま、プレーを続けていませんか?
サッカー・ラグビー・バスケットボール・陸上長距離など、
「走る・止まる・切り返す・蹴る」が多い競技の選手にとって、
鼠径部(足の付け根)や股関節、恥骨の痛みは“キャリアを左右する痛み”になりかねません。
安静にしていると少し良くなる。
でも、練習を再開するとまた痛みが出る――。
このような状態をくり返している場合、
「グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)」の可能性があります。
ここでは、グロインペイン症候群の特徴・原因・一般的な治療、
そしてありた整骨院がどのような視点でアスリートの復帰をサポートしているかをお伝えします。
グロインペイン症候群とは?
グロインペイン症候群(Groin Pain Syndrome)は、
鼠径部~股関節周りに起こるさまざまな痛みの総称です。
一つのケガの名前ではなく、
-
内転筋(ももの内側)の腱障害
-
腸腰筋(股関節の前側の筋肉)の機能不全
-
恥骨結合炎
-
いわゆる「スポーツヘルニア(鼠径部ヘルニア)」
-
腹直筋付着部の障害 など
複数の組織トラブルが重なって起こる“症候群”と考えられています。
どんな競技に多い?
-
サッカー
-
ラグビー
-
アメリカンフットボール
-
バスケットボール
-
アイスホッケー
-
陸上競技(特に長距離・中距離)
など、方向転換やキック動作が多い競技に好発します。
報告によって差はありますが、スポーツ障害全体の約5~18%を“股関節・鼠径部の痛み”が占めるとも言われています。
こんな症状があれば要注意です
次のようなサインがある場合は、グロインペイン症候群の可能性があります。
-
ウォーミングアップ中は大丈夫だが、
強度が上がると鼠径部や股関節の奥がズーンと痛くなる -
シュート・ロングキック・強い方向転換で恥骨周りがツキっと痛い
-
走り込みや試合の後に、
恥骨から内ももにかけて重だるい痛みが残る -
悪化してくると
-
立ち上がり
-
片足で靴下をはく動作
-
階段の上り下り
でも痛みが出るようになってきた
-
-
痛みをがまんしながらプレーしているうちに、
片脚だけ筋力が落ちてきた・フォームが崩れてきたと感じる
最初は「張っているだけ」「筋肉痛みたい」と思っていても、
痛みを抱えたまま練習を続けることで、慢性化・重症化しやすいのがこの症候群のこわいところです。
なぜグロインペイン症候群になるのか?
① キック・ダッシュ・ストップ&ターンによる“恥骨周りへの繰り返しストレス”
サッカーやラグビーなどでは、
-
強いキック動作
-
短い距離のダッシュのくり返し
-
急なストップ&方向転換
が連続して起こります。
これらの動作では、
-
内転筋群(ももの内側)
-
腹直筋(腹筋)
-
腸腰筋(股関節前面)
-
ハムストリングス(もも裏)
などが恥骨周囲に強く引っ張り合う力を生じさせます。
その結果、恥骨結合や付着部に繰り返しストレスがかかり、炎症や微細な損傷が蓄積していきます。
② 「可動性・安定性・協調性」のアンバランス
最近の研究・臨床報告では、グロインペイン症候群の背景に
-
股関節周囲の可動性低下(固さ)
-
体幹・骨盤帯の安定性不足
-
上半身・体幹・下肢の協調運動の低下
といった機能的な問題が関与しているとされています。
股関節が固い状態で無理にキックを繰り返したり、
体幹が弱い状態でプレーを続けると、
-
一部の筋肉だけに負担が集中する
-
恥骨周りの組織にねじれ・引き伸ばしストレスがかかりやすくなる
といった状況になり、鼠径部痛・股関節痛・恥骨痛が生じます。
③ 「全身的な機能不全」が鼠径部周囲の痛みとして現れる
日本のスポーツ整形外科領域では、
「全身的な機能不全が、最終的に鼠径部周辺の器質的疾患として現れる症候群」
としてグロインペイン症候群が定義されています。
つまり、
-
足首や膝の古傷
-
体幹のアンバランス
-
姿勢やフォームの崩れ
といった“全身の問題”が積み重なり、
最終的に鼠径部痛・股関節痛・恥骨痛としてサインが出ているとも言えます。
放置するとどうなる? 〜キャリアに影響するリスク〜
グロインペイン症候群は、
「そのうち良くなるだろう」と思って放置すると、次のような問題が起きやすくなります。
-
痛みが慢性化し、シーズンを通して全力でプレーできない
-
練習量を上げるとすぐに痛みが再燃し、パフォーマンスが安定しない
-
片脚だけ筋力低下・柔軟性低下が進み、フォームが崩れて他の部位のケガも増える
-
保存療法を長期間続けても改善せず、手術療法の検討が必要になるケースもある
特に、プロ・実業団・大学トップレベルでは、
長期離脱はそのまま“評価・契約・進路”に直結します。
「多少痛いけど、だましだましやれるから…」と我慢してしまう選手ほど、
後で回復に時間がかかってしまうことが多い印象です。
医療機関で行われる一般的な検査・治療
グロインペイン症候群が疑われる場合、
まずはスポーツ整形外科などの医療機関での評価が大切です。
一般的な検査
-
問診(いつから・どの動きで・どこが痛むか)
-
触診(恥骨・内転筋・鼠径部・股関節周囲の圧痛)
-
関節可動域・筋力・動作のチェック
-
必要に応じて
-
X線(疲労骨折などの除外)
-
MRI(炎症や組織損傷の程度を確認)
-
これらによって、
-
骨折
-
明らかな鼠径ヘルニア
-
股関節の器質的疾患(例:FAIなど)
といった別の病気が隠れていないかを確認します。
一般的な治療の流れ
医療機関や症状によって異なりますが、概ね次のような段階的アプローチが行われます。
-
保存療法(安静・負荷コントロール)
-
一時的に競技や高負荷トレーニングを休止
-
痛みの出る動作を避けながら、日常生活動作から調整
-
-
物理療法・徒手療法
-
炎症や筋緊張を抑えるための物理療法
-
股関節周囲・骨盤帯への徒手療法・マッサージ
-
-
リハビリテーション
-
体幹・股関節周囲の筋力強化
-
柔軟性向上のためのストレッチ
-
動作の再学習(ラン・カット・キックフォームの修正)
-
-
薬物療法
-
炎症・痛みを抑える内服薬や外用薬(医師の判断)
-
-
手術療法
-
数ヶ月の保存療法でも改善しない重症例では、
損傷した腱や筋膜の修復手術が検討されることもあります。
-
ありた整骨院の考える「グロインペイン症候群」へのアプローチ
※以下は一般的な考え方であり、実際の施術内容はお身体の状態・医師の診断・競技レベルに応じて個別に判断します。
① 痛みの場所だけでなく「全身の動き」を評価
グロインペイン症候群は、
鼠径部だけを揉んでも良くならないケースが多い疾患です。
ありた整骨院では、まず
-
立位姿勢(骨盤の傾き・体幹のねじれ)
-
片脚立ち・スクワット・ランやカット動作の再現
-
股関節・骨盤周囲・体幹・足首などの可動性
-
左右差・過去のケガ歴との関連
などを丁寧に確認し、
**「どこに負担が集中しているか」「どの連動が崩れているか」**を見極めます。
② 痛みを抑えながら、股関節周囲と体幹の機能を整える
状態に応じて、
-
股関節周囲の筋・筋膜への徒手療法
-
骨盤・腰椎・胸椎など全身のバランス調整
-
体幹(特に下腹部)の安定性トレーニング
-
内転筋・腸腰筋・大殿筋・ハムストリングスなどの機能改善
を組み合わせ、**「恥骨周りにかかるストレスを減らすための土台づくり」**を行います。
③ 競技特性に合わせた「動きの再学習」
痛みが落ち着いてきた段階では、
-
ウォーミングアップの見直し(股関節・体幹を意識した準備運動)
-
キックフォームのクセ(軸足・上半身の使い方)のチェック
-
方向転換・減速動作のパターン修正
などを段階的に取り入れ、
再発しにくい効率的な動きを身体に覚え込ませていきます。
④ 試合・シーズンに合わせた復帰プラン
-
大会までの日数
-
チームでの役割
-
ポジション(DF・MF・FW など)
-
これまでの離脱期間
といった情報も伺いながら、
「今シーズンはどこまで目指したいか?」を一緒に整理し、
現実的で納得感のある復帰ステップを一緒に考えていきます。
自分でできるセルフケアと、注意してほしいポイント
まずは避けたいこと
-
痛みをこらえての全力ダッシュ・シュート練習
-
片側ばかりに負担のかかる自主トレ(片脚だけの筋トレなど)のやり過ぎ
-
十分なウォーミングアップなしでの激しいメニュー参加
-
痛みが強いのに「試合だから」と鎮痛剤でごまかしてプレーを続けること
これらは、恥骨や腱の損傷をさらに悪化させるリスクがあります。
比較的やさしいセルフケアの例(目安)
-
股関節周囲の軽めのストレッチ
(内転筋・ハムストリングス・腸腰筋など) -
体幹まわり(腹横筋・多裂筋)を意識したインナートレーニング
-
痛みのない範囲でのウォーキング・軽いジョギング
※ただし、セルフケアだけで長期間様子を見るのはおすすめできません。
痛みが続く場合は、必ず専門家にご相談ください。
こんなアスリートは、一度ご相談ください
-
2週間以上、鼠径部痛・股関節痛・恥骨痛が続いている
-
「安静にすれば少し良くなるが、練習再開で必ず痛みが戻る」をくり返している
-
サッカー・ラグビー・バスケットボール・陸上長距離などで
パフォーマンス低下を感じている -
チームドクターや整形外科で
「グロインペイン症候群」「鼠径部痛症候群」と言われ、
「あとはリハビリと様子見」とだけ言われて不安を感じている -
手術はできれば避けたいが、本気で競技復帰・パフォーマンスアップを目指している
まとめ 〜“ごまかしながらのプレー”から卒業するために〜
グロインペイン症候群は、
-
鼠径部痛
-
股関節痛
-
恥骨痛
といった形でサインを出しながら、
全身の機能不全とパフォーマンス低下を教えてくれている状態とも言えます。
「もう少し頑張れるから」と痛みをごまかすのではなく、
**今のうちに身体の使い方・コンディショニングを見直すことが、
結果的に“競技人生を長くする近道”**になります。
立川市・多摩地区でグロインペイン症候群にお悩みのアスリートの方は、
一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。
※このブログの内容は、最新の医学的知見・スポーツ医学の文献・専門サイトを参考に、
一般的な情報としてまとめたものです。実際の診断・治療は、必ず医師・専門家の判断に従ってください。
